人的資本はビジネスの命脈
”優秀な⼈材の確保と定着”を目指して、 (1)エンゲージメント向上 (2)⼈材(後継者)育成 (3)⼈材への必要な投資 が不可欠です。 現代のビジネス環境において、人的資本経営はますます重要性を増し、 不可欠な要素の一つとして位置づけられています。 企業が長期的な成功を維持するためには、人的資本を適切に把握・運用することが重要です。 昨今人的資本がクローズアップされている要因としては、IoT及びビッグデータ、AI等の技術革新による第4次産業革命による産業構造の急激な変化、労働生産性の低下、少子高齢化による労働生産年齢人口の減少など企業や個人を取り巻く経営環境が大きく変化していることが考えられます。 このような中で、「人材版伊藤レポート2.0」では人材マネジメントの目的は”人的資源・管理”から”人的資本・価値創造”へと変革の方向性が示されています。人的資源管理。オペレーション志向。「コスト」から、人的資本の活用・成長。クリエーション志向。「投資」であり、効果を見える化と記載されています。 しかしながら、国内企業の現状は、人事戦略が経営戦略に紐づいていない、欧米諸国に比べて人的投資額が極めて少ない、諸外国に比べて従業員エンゲージメントが低いなどが上げられています。 そこで、「人材版伊藤レポート2.0」では経営戦略と人財戦略を連動させることなど3つの視点・5つの共通要素という枠組みを設定しました。 「人材版伊藤レポート2.0」と「人的資本可視化指針」により、人材戦略の実践(人的資本経営の実践)と人的資本の可視化(人的資本の情報開示)についての人的資本経営の方向性が示されています。 人的資本制度開示からは、上場会社における有価証券報告書への人的資本情報記載、労働者301人以上における男女の賃金の差異や正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働者の中途採用者数の割合などが義務化されています。人材獲得がますます難しくなる状況においては、大企業だけではなく、中小企業こそ経営存続のためにも人的資本経営を行うべきです。 人的資本は企業の最大の資産であり、成功の鍵となります。 組織の従業員は、製品やサービスを提供するために必要な知識やスキルを持っています。 人的資本を適切に管理することで、企業は従業員の能力を最大限に引き出し、競争優位性を維持することができます。 また人的資本経営は、従業員のモチベーションを高めるための重要な手段です。 従業員が自分たちの役割や貢献が評価されていると感じる場合、より良い仕事をする傾向があります。 また、成長機会やキャリアパスが提供される場合、従業員のコミットメントやロイヤルティが高まります。 人的資本経営は、企業文化や価値観を反映する重要な要素でもあります。 組織が従業員を大切にすることを示すことで、従業員は自分たちが所属する組織に誇りを持ち、 組織の目標達成に向けてより熱心に取り組むようになります。 組織文化と価値観が従業員にとって意味のあるものである場合、より良いパフォーマンスを発揮する可能性が高まります。 人的資本経営は企業にとって非常に重要な要素であり、従業員の能力、モチベーション、組織文化の強化など、 様々な側面から企業の成功に大きく貢献します。 このことは、上場企業・大企業だけではなく、中小企業やスタートアップ企業においてもISO30414は効果的に活用できます。
人的資本経営において重要なガイドラインとなるISO30414
ISO30414は人的資本経営において非常に重要な国際標準化機構(International Organization for Standardization)規格の1つであり、労働力の持続可能性をサポートするため、組織に対する人的資本の貢献を考察し、透明性(データ収集、測定、分析及び報告に関する効果的な活用)を高めることを目的として、人的資本(エンゲージメント、ダイバーシティ、リーダーシップ、生産性など)に関する網羅的・体系的な情報開示のガイドラインとして制定されました。 ISO30414を導入することで、次のようなメリットがあります。 1.人的資本の戦略的活用 ISO30414は、人的資本を戦略的に活用するためのガイドラインを提供しています。人的資本経営においては、経営戦略と人材戦略の連動が不可欠ですが、全社的経営課題の抽出、KPIの設定、定性指標の可能な範囲での定量化を行っていくためにも、ISO30414の活用が効果的です。 2.情報開示の透明性 ISO30414は、人的資本に関する情報を開示するための基準を提供しています。ISO30414を活用することにより、従業員のスキルや能力を定量的に測定することができます。 ISO30414により従業員のスキルや能力を明確に把握し、適材適所の配置やキャリアアップ支援、人材開発計画・後継者計画の策定などに役立てることができます。 その結果、社内外のステークホルダーの関心も高まり、企業の人的資本の最適活用が実現し、生産性の向上や競争力の強化などにつながります。 3.ステークホルダーとの関係強化 ISO30414は、人的資本に関する情報を開示することで、ステークホルダーとの関係を強化することができます。社外では株主(投資家)が投資先の中長期的な成長可能性を知ることができ、求職者においても将来的な成長可能性や志望先企業の労働環境や待遇について知ることができます。また社内では経営者自身が人的資本に適切な投資が行えているかや後継者育成の進捗度合、従業員においてはより良い給与や待遇を得られるかやより良い成長機会を得られているかまで幅広く知ることができ関係強化につながります。 4.人的資本のパフォーマンス向上 ISO30414は、人的資本に関するデータ(11項目58指標)を収集・分析することで、人的資本の強みや弱みを把握したり、人的資本のパフォーマンスを向上させるための施策を立てたり、人的資本のパフォーマンスを測定し、改善状況を確認したりすることができるようになります。 ISO30414を活用することで、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上、離職率の低下、人材育成・後継者育成、人材への必要な投資などが期待できます。このことは、上場企業・大企業だけではなく、中小企業やスタートアップ企業においてもISO30414は効果的に活用できます。 また、人材戦略の実践(人的資本経営の実践)と人的資本の可視化(人的資本の情報開示)においても、ISO30414の必要性はますます高まっていきます。 ISO30414はESG・SDGsやサステナビリティとも方向性は一致しており、さらには国際規格であることから米国証券取引委員会(SEC)などグローバルでも活用可能なガイドラインです。 ISO30414認証支援等に関するコンサルティングサービスについて
組織の在り方
● 倫理とコンプライアンス | 組織として倫理・コンプライアンス・労働慣行を把握し、研修等により理解度を高め、苦情や懲戒処分の件数を軽減させていくこと。 |
● ダイバーシティ | 年齢・性別・障碍者・国籍や経営層の比率等事業戦略を実現するうえで、合致した構成に近づけていくこと。また、日本における男女間賃金格差の更なる縮小を図ること。 |
● 組織と風土 | 従業員のエンゲージメントや満足度向上のための課題を明確にし、施策を実行することにより、人的資本の価値を高めていくこと。 |
● 健康・安全・幸福 | 業務上・外関わらず、精神的・身体的な健康維持・向上を図るための施策を立案・実施・管理・検証できる体制を構築し、労働環境の向上を図り、生産性を高めること。 |
投資効果
● コスト | 社内外における労働力の財務価値を図り、労働力の活用状況と公平・公正な処遇であるかを確認する。また、人材育成や福利厚生に対する投資や費用が適切であるかを把握し、企業価値の向上に繋げていくこと。 |
● 生産性 | 従業員1人あたりの売上・利益等から業績を図るとともに、人的資本に対する投資を検証することにより、効率的に人的資本への投資を目指すこと。 |
人材開発
● 採用・異動・離職 | 人材戦略に合致した要員計画を立案し、質の高い採用、重要ポストへの適正配置、経営に影響を与える離職がないか等を定期的に検証しながら、企業価値の向上に繋げていくこと。 |
● スキルと能力 | 経営戦略に合致した人材開発・育成のための能力開発プログラムや研修等を立案し、実施すること。また、定期的に受講時間、受講率、効果測定を行い、企業価値の向上に繋げていくこと。 |
● 労働力 | 適正人員、労働時間・欠勤発生率等の労働力の適正化を目指すこと。 |
人的経営
● リーダーシップ | 信頼度の高いリーダーシップ開発・育成や重要ポストの充足度合の測定等を定期的に行い、人的資本の価値を高めていくこと。 |
● 後継者計画 | 自社を担う後継者計画を立案、実行し、重要ポストの充足度合の測定等を定期的に行い、人的資本の価値を高めていくこと。 |
人的資本に関する制度開示関係他
関係法令名等 | 開示項目・内容 | 事業規模 | 開示時期等 |
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女性活躍推進法 | ① 一般事業主行動計画(計画期間、達成しようとする目標、対策内容及びその実施時期) ② 次の⑴及び⑵の情報の区分ごとに定める事項 ⑴ 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績 採用した労働者に占める女性労働者の割合、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合等 + 男女の賃金の差異(必須) ⑵ 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績 男女の継続勤務年数の差異、一月当たりの平均残業時間、有給休暇取得率等 | ① 労働者数が100人を超える事業主 ② 労働者数が100人を超える事業主 300人超の会社は⑴⑵それぞれから1つ以上 +男女の賃金の差異(必須)、101人300人の会社は⑴⑵全体から1つ以上 | 2022年4月全面施行 男女の賃金差異は事業年度の開始日からおおむね3か月以内 |
労働施策総合推進法 | 正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働者の中途採用者数の割合 | 労働者数が300人を超える会社 | 2021年4月 |
育児介護休業法 | 育児休業の取得の状況 (①男性の育児休業等の取得率又は②男性の育児休業等及び育児目的休暇の取得率) | 労働者数が1000人を超える事業主 | 2023年4月 |
次世代育成支援対策推進法 | 一般事業主行動計画 (計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標、対策内容及びその実施時期) | 労働者数が100人を超える事業主 | 2011年4月 |
若者雇用促進法 | (ア)募集・採用に関する状況 (イ)職業能力の開発・向上に関する状況 (ウ)企業における職場定着に関する状況 | 規模なし | 2016年3月 |
副業・兼業の促進に関するガイドライン | 副業・兼業に関する情報の公表について | 規模なし | 2022年7月 |
健康経営(経済産業省) | 健康経営の拡大と健康情報の開示 | 規模なし | 2022年以降 |
有価証券報告書(金融庁) | ①人的資本「人材育成方針」、「社内環境整備方針」 ②多様性「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」の記載 | 上場会社等(金融商品取引法適用会社) | 2023年3 月 31 日以降の期 |
人材開発支援助成金(厚生労働省) | ● 人への投資促進コース ● 事業展開等リスキリング支援コース | 規模なし | 期間は財源による |
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